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【2021年12月】家畜における遠隔診療~遠隔診療の積極的な活用についての通知の発出~

家畜における遠隔診療

令和3年6月1日に行われた規制改革推進会議にて、

規制改革推進に関する答申の中で、畜産の遠隔診療について言及されました。

その中で、「魚病対策に関する遠隔診療と同様に、家畜の遠隔診療を初診から

行うことができることを明確化するべきである。」とのことが記載され、

その措置時期を令和3年とされておりました。

この答申内容は令和3年6月18日に行われた閣議にて規制改革実施計画として

閣議決定されました。

令和3年6月1日規制改革推進会議
規制改革推進に関する答申

 

これを受けて、令和3年12月15日に農林水産省より、

「家畜における遠隔診療の積極的な活用について」という

農林水産省消費・安全局長通知が発出されました。

家畜における遠隔診療の積極的な活用について(令和3年12月15日)

 

その中で、「群の一部に対面での診療が行われていない家畜が含まれている場合で

あっても初診から遠隔診療(要指示医薬品の処方を含む)が可能であること。」

記載されております。

 

養殖魚の遠隔診療については下記記事もご参照ください。

blog.mirpet.co.jp

 

畜産分野における遠隔医療の議論の経緯

農林水産省は、2019年度の「獣医療提供体制整備推進総合対策事業に係る公募」に

おいて、情報通信機器を活用した産業動物診療の効率化を検討するため、

離島等の獣医療提供体制の効率化が求められる地域をモデルとして、

情報通信機器を用いた診療の試行的な導入及びそのための検討を計画するために

広域獣医療体制整備対策事業の公募を行いました。

その事業実施期間は、2020年3月31日までとされ、

その達成目標は、「情報通信機器を用いた診療に関するガイドラインの作成」と

なっておりました。

 

また、同じような内容で、2020年度、2021年度にも公募されております。

2021年6月24日現在、まだガイドラインの発表はされておりません。

2021年度「獣医療提供体制整備推進総合対策事業」の公募について

 

また、令和2年5月27日に公表された、

第四次となる「獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針」には、

第1 獣医療の提供に関する基本的な方向の3 産業動物臨床分野及び公務員分野に

おける獣医療の確保、(2)診療施設の整備並びに獣医療関連施設の相互の機能及び

業務の連携の項目に

 

「情報通信機器等を用いた遠隔地からの診療体制を確保する環境を整備する。

なお、情報通信機器等を用いて遠隔地から診療を行うに当たっては、

的確な診断に資するよう、産業動物臨床獣医師と畜産農家が密に連携して

取り組むための環境を整備する。」

 

とあります。

 獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針(令和2年5月27日公表)

 

さらに、2021年12月に公開された「獣医事をめぐる情勢(農林水産省消費・

安全局畜水産安全管理課 )」には、「情報通信機器を活用した産業動物診療の効率化」

の項目があり、


「離島等の獣医療提供体制の効率化が求められる地域をモデルとして情報通信機器を

用いた診療の試行的な導入などを実施」

 

とあります。

獣医事をめぐる情勢(令和3年12月 農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課)

 

令和3年6月1日の規制改革推進会議での答申内容(畜産の遠隔診療)

 

基本的考え方

家畜については、家畜伝染病予防法(昭和 26 年法律第 166 号)に基づく

飼養衛生管理基準により、家畜の所有者は農場ごとに担当の獣医師又は診療施設を

定め、定期的に家畜の健康管理について指導を受けるものとされており、

畜産の現場では、現在でも、電話やファックス等で医薬品を処方するなど、

広く遠隔診療が行われている。

 

そして、今後、迅速かつ的確な飼養衛生管理を促進するため、遠隔診療の積極的な

活用が望まれるところである。

他方で、初診から家畜の遠隔診療を行う際に、要指示医薬品の処方を制限する

農林水産省の通知(「要指示医薬品の投与及び処方に当たっての注意事項について」

平成 19 年 12 月 19 日)も存在することから、魚病対策に関する遠隔診療と同様に、

家畜の遠隔診療を初診から行うことができることを明確化するべきである。

 

<実施事項>

a 魚病対策に関する遠隔診療と同様に、獣医師による家畜の遠隔診療についても

初診から可能である旨を明確にするための通知を発出する。


b 通知を発出後、通知の内容を周知徹底した上で、積極的に遠隔診療が

活用された事例を畜産農家や獣医師等の関係者へ周知するなど、遠隔診療がより

積極的に活用されるための措置を講ずる。


c 通知の内容は、獣医師に直接周知・徹底を行う。

 

※a、cは令和3年措置、bは令和4年措置

 

今回は、この実施事項のaが実施された形です。

今後は実施事項のc、通知内容の獣医師への直接周知・徹底が行われると

考えられます。

 

家畜における遠隔診療の積極的な活用について

 

今回、発出された農林水産省消費・安全局長通知の概要は以下のようになります。

 

通知の背景

・畜産業は、農業の基幹的部門へと成長をしており、飼養規模の拡大と集約化が

進展する中で、家畜の伝染性疾病の予防や食品の安全、農家の収益性向上につながる

獣医療の提供が求められている。

 
 ・家畜の遠隔診療については、これまでも飼育者から病状の聴取等をもって行う

診察が行われてきたが、産業動物獣医師の偏在や情報通信機器の高度化、普及等も

踏まえ、遠隔診療の活用を推進することが重要。 

家畜の遠隔診療の積極的活用における留意事項 

・畜産農家では、担当獣医師等の定期的な指導を受けていることから、

群の一部に対面での診療が行われていない家畜が含まれている場合であっても

初診から遠隔診療(要指示医薬品の処方を含む。)が可能。


・家畜伝染病等が疑われる場合、正確な診断のため触診を要する場合、

畜産農家の情報通信機器の扱いが不慣れであり、正確な情報が得られない場合等、

遠隔診療による対応が困難又は不適切と考えられる場合は、

対面での診察への切り替えや、管内の家畜保健衛生所等への連絡を行う。 
 

・遠隔診療を行う獣医師は、送付された検体の検査、より高度で情報量の多い

情報通信技術の活用等により診療に必要な情報を入手すること。 

 

・家畜への過剰投薬の防止等の観点から、農場ごとの担当獣医師等の関係者間で

診療に関する医薬品の処方、使用等の情報を共有し、連携して慎重使用の推進を

図ること。 

 

原文は以下よりご確認ください。

家畜における遠隔診療の積極的な活用について(令和3年12月15日)

 

まとめと所感 

 

2021年3月の養殖魚の遠隔診療についての通知に続き、

今回は、家畜における遠隔診療についての通知が農林水産省から出されました。

規制改革推進室との議論の中で、この1年で獣医師法を根拠にした

遠隔診療についての国の方針が大きく進んだことになります。

 

今後、想定されることは、同じ獣医師法に規定されている犬や猫などの

ペットについての獣医療に関する遠隔診療はどのような取り扱いになるのか

ということです。

 

今回の通知にもあるように、家畜については基本的には群管理を行っており、

それを管理する農家の方もその分野のプロになります。

よって、獣医師と家畜の飼育者(農家の方)はプロ同士のやりとりになりますし、

定期的にコミュニケーションをとっているもの同士が前提になった診療を

行っております。

そのため、個体ごとが初診であっても、オンライン診療のデメリットである

情報量の不足をある程度予測して遠隔診療を行うことが可能だと考えられます。

 

以前の記事で懸念していたとおり、

今回の通知にはペットについての記載がありません。

今までの農林水産省の通知の出し方は一般的には畜産のこととして発出し、

あとからの問い合わせへの回答として、

ペットも同様と読み替えることで対応されてきました。

 

家畜もペットも獣医療においては法律上の区別はなく、

同じ獣医師法を根拠とすることから、今までと同じことになるのだとすれば、

ペットも一部初診でのオンライン診療が可能なのではと解釈する方も出てくる ことが

予想されます。

 

その場合、現状ではルールが何もない中で、ペットの医療で初診での遠隔診療の実施が

可能となってしまうことには大きな懸念 を抱かざるを得ません。

 

これがヒトの医療だったらと考えた時、

ルールが何もなく、「初診のオンライン診療が解禁」と言われた場合、

相当のリスクをかかえている状況と言えるのではないでしょうか?

 

国の見解が農林水産局長通知として出されているのみで、

ヒトの医療のように明確なガイドラインが示されていないことは問題だと考えます。

今回の通知でも「初診でも可能」という文言があるが細かい規定はありません。

実際の細かい運用は現場の運用者の判断にゆだねられる部分も多いかと思います。

 

水産分野と畜産分野は共に産業動物という、生産効率を求められる分野で、

かつ群管理を行うことが主ですが、当社の関係領域のペットの医療はそれとは違い、

どちらかというとヒトの医療に近い分野になります。

 

産業動物は、獣医師と生産者という特定の方同士のやりとりであることと、

生産者自身も専門知識と経験を持っているため獣医師との情報の非対称性も

比較的少なく、運用上の大きな問題が起こりにくい環境と言えます。

 

一方、ペットの医療は、動物病院と不特定多数の飼い主様とのやりとりになることと、

飼い主様と獣医師の間での情報の非対称性が起こりやすいため、

オンライン上でのやりとり、

特に信頼関係のまだ構築されていない状態での初診でのオンライン診療や

薬の処方等に関しては十分な安全対策が必要だと考えます。

 

その詳細を運用者ごと(動物病院、獣医師ごと)に任せてしまうと基準の違いが生じ、

結果として誤診や薬の過剰投与などが起こりペットの健康被害や

社会に対する不利益が生じる可能性が生じます。

 

このような理由から、仮に国が今後オンライン診療の利用を推進したとしても、

明確な運用基準が無い状態だと獣医師としてもリスクを減らすために

オンライン診療の活用がしづらい状況になってしまいます。

 

仮に、ペットの医療でも初診でのオンライン診療を可能とするのであれば、

無条件での解禁ではなく、ヒトの医療のように一定の基準やルールを設けることが

大事です。

 

よって、安全で効果的なオンライン診療を幅広く活用していくためには、

国による明確な運用指針、つまりガイドラインが必要だと考えます。

 

ガイドラインには、業界全体に対する共通認識を形成することと、

一般的な運用指針を明確化、想定されるリスクを考慮しそれに対して事前に排除や

可能性を下げられるような基準や縛りを設けておくことが

大事なのではないでしょうか?

 

そのためにも、今できることを実践しながらエビデンスと経験を積んで、

今こそ業界全体の議論がされることが必要で、

それが安全で便利な獣医療の提供につながると考えております。

 

 

 

いま、実施できるオンライン相談・診療に関しては下の記事をご参考にしてください。

blog.mirpet.co.jp

 

 

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