みるペットブログ

ペットのオンライン診療情報ブログ

ペットのオンライン診療は、現在どこまで実施可能なのか
オンライン相談・診療システム「みるペット」について
動物病院様向け「みるペット」のメリット
ペット医療費あと払い、みるペットPayについて

【2022年07月】(公社)日本獣医師会より「愛玩動物における遠隔診療の適切な実施に関する指針」が発行

(公社)日本獣医師会より 「愛玩動物における遠隔診療の適切な実施に関する指針」 が発行されました。

2022年7月1日、公益社団法人日本獣医師会より、

「愛玩動物における遠隔診療の適切な実施に関する指針」が発行されました。

 

2021年12月15日に農林水産省より、

「家畜における遠隔診療の積極的な活用について」という

農林水産省消費・安全局長通知が発出されましたが、

それを受けて小動物診療分野においても、法令を遵守する中での適切な

遠隔診療について運用ルールの整備が求められていることから、

日本獣医師会からまずは発行された形です。

 

この指針において、遠隔診療について、原則初診は対面診療とされていますが、

「かかりつけ獣医師」が一定の条件を満たして行うのであれば

初診から遠隔診療を行えるとされています。

 

獣医師法や現在までに農林水産省等より発出されている通知等の関係法規等を

根拠に、初診でのオンライン診療の運用指針の記載もされており、

いままでのオンライン診療に対しての解釈から一歩進んだ

ガイドラインとなっております。

 

今回、公の団体からペットのオンライン診療についての指針が出ることで、

いままでは各自の判断、解釈のもと運用されていたオンライン診療が、

具体的な指針を参考にすることができるようになりました。

 

これによって、獣医師としてより安心して適正なオンライン診療の提供が

しやすくなるのではと考えております。

対面診療と適正なオンライン診療を適切に組み合わせることで、

より飼い主様志向の獣医療の提供が可能となります。

 

また、飼い主様にとっても、動物病院や獣医師等とのオンライン上での

コミュニケーションをより安心して行うことができ、

最適な獣医療へのアクセスを実現することができるようになります。

 

現在までの獣医療におけるオンライン診療を取り巻く流れについては

以下記事をご参照ください。

blog.mirpet.co.jp

 

以下、本指針の概要のご紹介と特に重要だと考えられる部分を

抜粋させていただきました。

 

詳細は公益社団法人日本獣医師会より発行されている、

「愛玩動物における遠隔診療の適切な実施に関する指針」の原文をご確認ください。

 

 

本指針概要

2022年7月1日、公益社団法人日本獣医師会から、

「愛玩動物における遠隔診療の適切な実施に関する指針」が発表され、

小動物診療分野におけるオンライン診療に関する

初めての公の団体による指針が示されました。
 
管轄省庁である農林水産省からの発表ではないが、

このガイドラインに沿った運用を行うことで、

法令順守を行いながらペットのオンライン診療を行うことができるような内容と

なっております。
 
また、本指針においては、遠隔診療について原則初診は対面診療としているものの、

「かかりつけ獣医師」が一定の条件を満たして行うのであれば初診から遠隔診療を

行えるとしています。

 

これを基に多くの獣医師がオンライン診療の活用検討を行うことで、

よりよい指針へと改訂され、

将来的には農林水産省から国による明確なガイドラインの発表が期待されます。

 

本指針目次

目次は以下のようになっております。

 

1.獣医療の遠隔診療を取り巻く環境

2.本指針の関係法令等

3.本指針に用いられる用語の定義

4.遠隔診療の実施にあたっての基本理念 

5.指針の具体的適用

 ・獣医師及び飼育者間での合意 
 ・適用対象
 ・本人確認 
 ・薬剤の処方及び管理
 ・獣医師の所在
 ・愛玩動物看護師が飼育者と飼育動物に対応している場合
 ・通信環境
 ・海外から国内の飼育動物に対する遠隔獣医療の実施又は国内から国外の飼育動物に
  対する遠隔獣医療の実施に当たり遵守すべき事項

6.今後の課題と検討事項

 

 

今回の指針の発行の理由と基本的な考え方を示したあと、

その根拠となる関係法規等、言葉の定義が整理されております。

 

そして、具体的な運用指針を記載することで、

実際の運用時に気を付けるべき点が記載されております。

 

最後に現状での課題と今後の検討事項を示すことで、

この指針で完成ではなく、これからも実施と再考を重ね、

より良い指針と環境の整備の必要性が記載されております。

 

背景

ヒトの医療では、平成 30 年に厚生労働省によって

「遠隔診療の適切な実施に関する指針」が策定され、

臨床の現場での遠隔診療の活用の基準が明確になりました。 

 

その後、新型コロナウイルスの感染拡大により時限的に初診での遠隔診療が解禁。

令和 3 年 6 月 18 日に閣議決定された規制改革実施計画では、

初診での遠隔診療の恒久化の内容を具体化。

 

獣医療領域においては、令和 3 年

「魚病の予防及びまん延防止における遠隔診療の積極的な活用について」(局長通知)

と「魚病対策の的確な実施に向けた取組等について」(局長通知)、

「家畜における遠隔診療の積極的な活用について」(局長通知)が発出。


産業動物診療分野におけるこれらの対応を受け、

小動物診療分野においても適切な遠隔診療についての運用ルールの整備が

求められています。

 

遠隔診療の可能性

・遠隔地や離島のみならず、獣医師や動物病院が不足する地域や、

 日中に来院できない飼育者などにとっても有用で、

 愛玩動物の治療の選択肢を広げる。

 

・適切な情報を愛玩動物の飼育者に届けるという動物病院の機能を強化する可能性

 

診療効率が上がり、かつ対面診療と組み合わせた多様な診療方法を

 採用することが可能

 

関係法規等

獣医師法第 17 条

獣医師でなければ、飼育動物(牛、馬、めん羊、山羊、豚、犬、猫、鶏、うずら

その他獣医師が診療を行う必要のあるものとして政令で定めるもの

(オウム科、カエデチョウ科及びアトリ科全種)に限る。)の

診療を業務としてはならない。

 

獣医師法第 18 条

獣医師は、自ら診察しないで診断書を交付し、若しくは劇毒薬、

生物学的製剤その他農林水産省令で定める医薬品の投与若しくは

処方若しくは再生医療等製品(略)の使用若しくは処方をし、

自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証明書を交付し、

又は自ら検案しないで検案書を交付してはならない。

ただし、診療中死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。

 

獣医師法の一部を改正する法律および獣医療法の運用について
(平成 4年 9 月 1 日付け 4 畜第 2259 号各都道府県知事あて農林水産省畜産局長通知)

獣医師法第18条の診察とは、

獣医学的見地からみて疾病に対して一応の診断を下しうる程度の行為をいい、

獣医師が自ら定期的に巡回する等して常に当該農場の飼育動物の健康状態を

把握している場合等において飼育者から病状の聴取等をもって行うものも含まれる。

 

要指示医薬品の投与及び処方に当たっての注意事項について
(平成 19年 12 月 19 日付け 19 消安 10237 号都道府県畜産主務部長あて農林水産省消費・安全局長通知)

獣医師法第 18 条に規定する「診察」とは、

触診、聴診、打診、問診、望診その他手段のいかんを問わないが、

現代の獣医学的見地からみて疾病に対して一応の診断を下しうる程度の

行為でなければならないと解しているため、

当該家畜に直接対面して診察することを一度も行わずに、電話、FAX等により、

当該家畜の症状等を飼育者等から聞き取るのみでは、

要指示医薬品を使用することが不可欠な症状であるかどうかを的確に把握し、

正しい診断を下すことは通常は困難であると考えられる。

したがって、当該家畜に直接対面して診察することを一度も行わず、

要指示医薬品を処方することは、

一般的には獣医師法第 18 条の規定に違反するものである。

 

家畜における遠隔診療の積極的な活用について
(令和3年 12 月 15 日付け 3 消安第 4800 号各都道府県知事あて農林水産省消費・安全局長通知)

 

家畜の遠隔診療の積極的活用における留意事項 

①畜産農家では、飼養衛生管理基準に定める農場ごとの担当獣医師等の定期的な

指導を受けていることに鑑み、

群の一部に対面での診療が行われていない家畜が含まれている場合であっても

初診から遠隔診療(要指示医薬品の処方を含む。)が可能であること。

 

②ただし、家畜伝染病等が疑われる場合、正確な診断のため触診を要する場合、

畜産農家の情報通信機器の扱いが不慣れであり、正確な情報が得られない場合等、

遠隔診療による対応が困難又は不適切と考えられる場合は、

対面での診察への切り替えや、管内の家畜保健衛生所等への連絡を行うこと。 

 

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号) 第 14 条

医薬品(農林水産大臣が基準を定めて指定する医薬品を除く。)、

医薬部外品(農林水産大臣が基準を定めて指定する医薬部外品を除く。)又は

厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品の製造販売をしようとする者は、

品目ごとにその製造販売についての農林水産大臣の承認を受けなければならない。 

 

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号)第 24 条


 薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、

業として、医薬品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、

若しくは陳列(配置することを含む。以下同じ。)してはならない。

ただし、医薬品の製造販売業者がその製造等をし、

又は輸入した医薬品を薬局開設者又は医薬品の製造販売業者、

製造業者若しくは販売業者に、医薬品の製造業者がその製造した医薬品を医薬品の

製造販売業者又は製造業者に、それぞれ販売し、授与し、又はその販売若しくは

授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列するときは、この限りでない。

 

用語の定義

遠隔獣医療

電話、パソコンを始めとする情報通信機器を活用した飼育動物に係る保健衛生の向上

及び獣医療に関する行為をいう。

 

遠隔診療

遠隔獣医療のうち、獣医師-飼育者-飼育動物間において、情報通信機器を通じて、

飼育動物の診察及び診断を行い、診断結果の伝達、処方等の診療行為を

リアルタイムに行う行為

 

離島、へき地等の遠隔地に所在する場合、

通信環境が整っておらずリアルタイムで遠隔診療を実施できない場合

及び夜間救急時には、録画動画、写真、文字等による情報のやり取りにより

実施することも認められる。

 

ただし、文字、写真録画動画等のみのやり取りで完結してはならず、

必ずその後にリアルタイムによる情報のやり取りを行い、

情報を補完する必要がある。

 

遠隔診療によって適切な診断をするために必要な情報が得られないと

医師が判断した場合は、獣医師は飼育者に、

直接対面による診察を受けるように指示しなければならない。 

 

初診

同一の飼育動物診療施設において初めて受診する場合

又はこれまで受診していた疾患とは異なる新たな症状、

疾患等(既に診断されている疾患から予測されるものを除く。)について

受診する場合をいう。

 

既に診断を受けた疾患について二度目以降に受診をする場合は

「初診」に該当しないが、疾患が治癒ないし治療が途中で長期間中断した後、

再度同一疾患で受診する場合は「初診」に該当する。

 

ただし、他の飼育動物診療施設において受診したことのある症状、

疾患等であっても、当該飼育動物診療施設において初めて診療する場合は

初診に該当する。

 

かかりつけ獣医師

当該飼育動物及びその飼育者が定期的に対面で受診している等直接的な関係があり、

日頃から当該飼育動物の既往歴や予防情報、

健康診断結果等を把握している獣医師のこと。

 

直接の対面診療

通院、訪問等により獣医師が直接診療対象の飼育動物に対して行う診療行為。 

 

診療

飼育動物の疾病についての診察、診断、治療その他の獣医師の獣医学的判断及び

技術をもってするのでなければ、飼育動物に危害を及ぼし、

又は危書を及ぼすおそれのある一切の行為をいう。 

 

診断

一般的に、「獣医師が診察の対象である動物の疾病について診察の結果、

その獣医学的断定をする行為」であり、疾患の名称、原因、現在の病状、

今後の病状の予測、治療方針等について主体的に判断を行い、

これを伝達する行為をいう。

 

処方

獣医師は、自ら診察しないで薬の処方をすることはできない。

要指示医薬品や人用医薬品などを適応外使用するために飼育者にその医薬品を

交付するには、獣医師による「処方」が必要となる。

 

要指示医薬品以外の医薬品については、飼育者に対して「販売」を行うことは

可能だが、薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ

飼育者に直接医薬品の販売を行うことはできない。 

 

基本理念

・飼育動物の日常生活の情報も得ることにより、

 獣医療の質のさらなる向上に結び付けていくこと

 

・獣医療を必要とする飼育者に対して、

 獣医療に対するアクセシビリティ(アクセスの容易性)を確保し、

 よりよい獣医療を得られる機会を増やすこと

 

・飼育者が治療に能動的に参画することにより、

 治療の効果を最大化することを目的として行われるべきもの

 

獣医師-飼育者関係と守秘義務

獣医師-飼育者間の関係において、

診療に当たり、獣医師が飼育者から飼育動物についての必要な情報の提供を求めたり、

飼育者が獣医師の治療方針へ合意したりする際には、相互の信頼が必要となる。

 

このため、日頃より直接の対面診療を重ねている等、

遠隔診療は獣医師と飼育者とその飼育動物に直接的な関係が既に存在する場合に

限って利用されることが基本であり、原則として初診は対面診療で行い、

その後も同一の獣医師による対面診療を適切に組み合わせて行うことが求められる。

 

獣医師の責任

遠隔診療により獣医師が行う診療行為の責任については、

原則として当該獣医師が責任を負う。

 

このため、獣医師は遠隔診療で十分な情報を得られているか、

その情報で適切な診断ができるか等について、慎重に判断し、

遠隔診療による診療が適切でない場合には、速やかに遠隔診療を中断し、

対面による診療に切り替えることが求められる。

 

また、獣医師は飼育者の飼育動物の獣医療情報が漏洩することや

改ざんされることのないよう、

情報通信並びに飼育者及び飼育動物の獣医療情報の保管について、

十分な情報セキュリティ対策が講じられていることを確認しなければならない。 

 

獣医療の質の確認並びに飼育者及び飼育動物の安全の確保

遠隔診療により行われる診療行為が安全で最善のものとなるよう、

獣医師は自らが行った診療について、

治療成績等の有効性の評価を定期的に行わなければならない。 


また、飼育者の動物の急変などの緊急時等、

遠隔診療の実施が適切でない状況になった場合においても、

当該動物の安全が確保されるよう、獣医師は、必要な体制を確保しなければならない。

 

遠隔診療の限界などの正確な情報の提供

遠隔診療においては、

対面診療に比べて得られる飼育動物の状態に関する情報が限定される。

 

獣医師は、こうした遠隔診療による診療行為の限界等を正しく理解した上で、

飼育者及びその家族等に対して、遠隔診療の利点や不利益等について、

事前に説明を行わなければならない。

安全性や有効性のエビデンスに基づいた獣医療

適切な遠隔診療の普及のためには、

その獣医療上の安全性・有効性・必要性が担保される必要があり、

獣医師は安全性や有効性についてのエビデンスに基づいた獣医療を

行うことが求められる。

 

また、遠隔診療は、対面診察に比べて得られる情報が少ないことから、

医薬品の適応外使用など安全性の確立されていない獣医療を提供するべきではない。 

 

飼育者の求めに基づく提供の徹底

遠隔診療は、飼育動物の飼育者がその利点及び不利益等について理解した上で、

飼育者が求める場合に実施されるべきものであり、

獣医師側の都合や研究目的で行ってはならない。 

 

具体的指針

具体的指針には、遠隔診療を実施するに当たり、

「最低限遵守する事項」および「推奨される事項」に分けて、

その考え方が示されています。


「最低限遵守すべき事項」として掲げる事項は、遠隔診療の安全性を担保し、

診療として有効な問診、診断等が行われるために必要なものであるため、

「最低限遵守すべき事項」として掲げる事項を遵守して遠隔診療を行う場合には、

獣医師法第 18 条の規定に抵触するものではないとしています。

以下、一部重要な部分の抜粋してのご紹介です。

 

獣医師及び飼育者間での合意

・原則として飼育者側の求めにより行われるべきものである。

 

・獣医師が飼育者の求めに応じて遠隔診療を実施した場合にあっても、

 当該遠隔診療により診断や処方を行うことが困難であると判断し、

 診断や処方を行わずに直接対面での診療を促す

 又は他の診療可能な飼育動物診療施設を紹介する行為は、

 獣医師法第 19 条第1項に規定する応召義務に直ちに違反するものではない。

 

最低限遵守する事項

・獣医師は、飼育者が遠隔診療を希望する旨を明示的に確認する。

 

・その合意内容は獣医師法第 21 条第 1項に規定する

 診療簿(以下「診療簿」いう。)に記録すること。

 

適用対象

遠隔診療は「かかりつけ獣医師」のみが可能である。

 

初診については原則として直接の対面で行うべきである。

 

初診時でも「最低限遵守する事項」を守る条件下においては、

 遠隔診療を行うことは許容される。 


最低限遵守する事項
・「かかりつけ獣医師」が飼育動物のために速やかに遠隔診療による診療を行う

 必要があると認めるときは飼育者の同意の下

 初診であっても遠隔診療は許容されるが、原則として遠隔診療の後に、

 直接の対面診療により経過の確認を行うべきである。


「Vet to Client with Vet」において、情報通信機器を通じて診療を行う獣医師は、

 飼育者といる獣医師から十分な情報が提供されている場合は、

 初診であっても遠隔診療を行うことが可能。


離島、へき地等の遠隔地に立地している場合来院が困難な場合において、

 飼育動物のために緊急性をもって直ちに診療を行う必要性が認められるときは、

 初診から遠隔診療を行うことは可能。


・診療簿に、通常の診療記載項目に加えて、遠隔診療を実施したこと、

 実施した日時(開始時間、終了時間)、通話合計時間、通信手段を記載する。


・初診を直接対面で診療した獣医師が行うことを原則とするが、

 以下の(a)から(c)までの全てを満たす場合は、

 診療に関与する特定の複数獣医師の全ての者により直接の対面診療が

 行われていなくても、初診でないものとして、

 特定複数獣医師が交替で遠隔診療を行うこととして差し支えない。
 

(a)特定複数獣医師は、同一の飼育動物診療施設の開設の場所において

   診療に携わっており、一体的に診療に関与し、

   診療対象となる飼育動物の健康状態や過去の罹患歴について、

   診療簿により容易に共有・確認できる環境にあること。 


(b)遠隔診療から直接の対面診療への切り替えが必要とされた場合、

   速やかに直接の対面診療が可能となる体制が整備されていること。 


(c)遠隔診療の内容、診断の結果等に関しては、

   実際に遠隔診療を行った獣医師のみならず、特定複数獣医師が所属する組織等が

   その責を負う体制が整っていること。 


推奨される事項

・遠隔診療は、対面診療と比較して得られる対象動物の情報が少なくなるため、

 診療の質の担保のために遠隔診療に従事する者は、

 飼育動物診療施設での診療又は往診での診療業務の実務を

 通算で3年以上経験しており、

 さらに現在も診療業務を週2日以上主な業務としている獣医師が望ましい。

 

薬剤の処方及び管理

 

最低限遵守する事項

・新たな症状、疾患に対しての医薬品の処方は「初診」として扱い、

 原則として直接の対面診療に基づき行うこと。

 ただし、離島、へき地等の遠隔地に飼育者及び飼育動物が所在するなど、

 速やかな直接の対面診療が困難である場合、発症が容易に予測される症状の変化に

 対応するために医薬品を処方することは認められる。

 

・医薬品を処方する場合には、診断結果及び獣医学的判断に基づき、

 過量処方とならないよう適切な容量及び日数で処方すること。 


初診時に遠隔診療を実施する場合に遵守する事項

・医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

 第 83 条第 1 項の規定により読み替えて適用される同法第 14 条第 1 項の承認を

 与えられた動物用医薬品又は第 23 条の 25 第 1項の承認を与えられた

 動物用再生医療等製品(以下「動物用医薬品等」という。)以外の医薬品の

 処方を行ってはならない。

 

麻薬及び向精神薬等、特に安全管理が必要な医薬品の処方をしてはならない。

 

・動物用医薬品等であっても効能外処方は行ってはならない。

 

処方日数は7日間(医薬品の添付文書に投与間隔が8日以上と記載されているものは

 処方してはならない。)を上限とし、

 それで症状が改善しなければ直接対面での診療を促す又は他の診療可能な

 飼育動物診療施設を紹介する。 

 

獣医師の所在

原則として動物診療施設において遠隔診療を行うこと。

 

・動物診療施設以外の場所で遠隔診療を行う場合には飼育動物診療施設に居る場合と

 同等程度に飼育動物の状態に関する情報を得られる体制を確保しておくべきである。

 

最低限遵守する事項
・遠隔診療を実施する獣医師は、獣医療法第3条に基づき届出がなされた

 飼育動物診療施設に所属し、その所属先を明らかにしておくこと。

 

・遠隔診療を行う際は、診療簿等に基づき、

 過去の飼育動物の状態を把握しながら診療すること等により、

 飼育動物診療施設に居る場合と同等程度に飼育動物の状態に関する情報を

 得られる体制を整えなければならない。


・プライバシー保護の観点から、獣医師は物理的に外部から隔離される空間において

 遠隔診療を行わなければならない。

 

推奨される事項
・遠隔診療を行う獣医師は、所属する飼育動物診療施設に容易にアクセスできるよう

 努めることが望ましい。

 

愛玩動物看護師が飼育者と飼育動物に対面している場合

・今後、愛玩動物看護師が飼育者と飼育動物に対面している場合の遠隔診療

 (以下「V to C with VN」という。)においては、飼育者の同意の下、

 獣医師は診療の補助行為を愛玩動物看護師に指示することにより、

 予測された範囲内における治療行為や予測されていない新たな症状等に対する

 検査が愛玩動物看護師を介して可能となることが期待される。 

 

留意すべき事項
予測されていない新たな症状等が生じた場合において、獣医師が愛玩動物看護師に

 対し、診断の補助となり得る追加的な検査を指示することは可能である。

 

・V to C with VN を行う場合は、原則として、愛玩動物看護師と獣医師は同一の

 飼育動物診療施設に所属し、愛玩動物看護師はその獣医師から訪問看護の指示を

 受けていること。

 

今後の課題と検討事項

(1) 遠隔診療の実施に当たっては、獣医学的知識のみならず、情報通信機器の使用や

 情報セキュリティ等に関する知識が必要となる。

 このため、獣医師は、遠隔診療に責任を有する者として、

 有効な研修等を受講するなどにより、遠隔診療を実施するために必須となる知識を

 習得することが望ましい。 

 

(2) 遠隔診療による個体識別をより確実にするために、

 オンライン上でもマイクロチップなどを活用した個体識別の可能な体制の

 構築が必要である。

 

(3) 初診での遠隔診療の実施については、

 処方可能医薬品の規定の必要性についての議論が必要である。 

 

(4) 遠隔診療の安全性や有効性等に関する情報は、

 個々の飼育動物診療施設で保有されるだけでなく、

 今後の遠隔診療の進展に向け社会全体で共有・分析されていくことが望ましい。

 そのためにも、獣医師は、カルテ等における記録において、

 日時や診療内容などについて可能な限り具体的な記載をするよう心掛けるとともに

 遠隔診療である旨が容易に判別できるよう努めることが望まれる。

 

まとめと所感

獣医療のオンライン診療に関する国からの通知は、

2021年3月、「養殖魚の遠隔診療についての通知」、

2021年12月、「家畜における遠隔診療についての通知」が

農林水産省から発出されておりますが、

それ以降、2022年7月10日現在、小動物医療に関する通知はでておりません。

 

実際には、今までも獣医師法や各種通知等を根拠に再診については、

オンライン診療が適法に行える状況でしたが、

公に明確なルールが定められておらず、共通認識が出来ていない状況でした。

そのため、その運用は各獣医師個人にゆだねられており、

意図しない行き過ぎたオンライン診療の提供のリスクが潜んでいました。

 

飼い主様目線に立った獣医療を提供しようとするときに、

対面診療だけでなく、オンライン診療を組み合わせて提供していくことは

今後あたりまえの状況になると考えております。

そんなときに現場の獣医師の先生方が安心して適正なオンライン診療を

提供するための指針が臨床現場の獣医師の団体である

公益社団法人日本獣医師会によって発行されたことは

とても大きな意味があると考えております。

 

また、「最低限遵守する事項」を守ることで法的にも問題のないことを

確認しているということで、多くの先生方の安心に繋がると考えます。

 

これでガイドライン作成は終わりではなく、

あくまでもこれを基に多くの先生方が少しずつオンライン診療の活用について検討し、

実施することで、課題や追加・修正点が見つかり、

よりよい指針に改訂されていくことを期待しております。

 

また、飼い主様目線に立ったより良い獣医療の提供のために、

オンライン診療を活用しようという業界の流れが国を動かし、

ヒト医療と同様に、国としての正式な見解やガイドラインの発表がされることを

願っております。

 

※今回、公益社団法人日本獣医師会から発行された、

この「愛玩動物における遠隔診療の適切な実施に関する指針」は、

当社が協賛団体として参加させていただいております、

日本獣医オンライン診療研究会が作成の協力をしております。

 

 

 

オンライン相談・診療システム「みるペット」のご登録はこちら

「みるペット」は、動物、飼い主様を動物病院や獣医師とインターネットで繋ぐ、

動物病院専用のオンライン相談・診療システムです。

 

動物病院様にとって利用登録をするだけで、オンライン相談・診療を簡単に導入でき、

予約・ビデオ通話(相談・診療)・決済までをワンストップで行うことができます。

 

詳しくはこちら

 

「オンライン診療の法的解釈は?」、

「オンライン診療のガイドラインについてもっと知りたい」、

「実際の運用の流れを知りたい」など

お気軽にお問い合わせください。

 

資料請求やオンライン個別説明会も受付中です。

 

お問い合わせはこちらから

 

ご登録ご希望の場合は、下記からお願いします。

動物病院様向け

飼い主様向け

「みるペット」正式版にリニューアル!登録は、みるペットHPより

株式会社みるペット ©Copyright2021 All rights reserved.

プライバシーポリシー免責事項